ノンアルコールのアイスコーヒー

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「私は先生のように甘いものではなく肉のような脂ものが好きでよく食べるので、ぜい肉になりやすいんですよね。  そんな事は分かってはいるんですけれどやめられないんですよ。  あ、すみません、しゃべりすぎました。  先生のお話とは何でしょうか」  ちっとも悪びれる素振りを見せずに彼女は久しぶりに私の目を見た。 「いいのよ、話しすぎる人のほうがパートナーとして相応しいわ。  私はそんなに話が上手ではないから聞いているだけで楽しいし、それに何より、あなたは宝庫なのだから話を聞くのは苦ではないわ」  本当のことだ。  彼女のおかげで私は小説家としての報酬を得ている。 「そうね、話というほど改まって言うことではないのだけれど、あなたは私のことをどう思っているのかを聞かせてもらいたくて。  仕事上のパートナーであることを除いて、私のことをあなたなりに分析して欲しいの」  少し首を傾けて唸った後、嬉々として語り始めた。 「先生は桜のイメージです。  だから車の色も芳香剤の香りも桜に揃えました。  柔らかい色合いで華やかでみんなを楽しませてくれるので、好きなんですよ。  だから先生のことは好きです。  直して欲しいところも沢山ありますけど、そんなところを全部含めて先生ですから」 「あら、ありがとう。  そんなにいい印象を持ってくれているなんて知らなかったわ。  最後が少し、余計な気がするけれど」 「尊敬しているからこそ言えることもありますよね」 「話を逸らすのが上手くなってきたわね。  私も桜、好きよ。  可愛くて素直で気遣いも出来て優秀で綺麗だし、憧れるところが沢山あるわ」 「先生、それは桜の花のことですよね?」 「私を桜だと言ったのはあなたじゃない。  もちろんよ」  ほんのり桜色に色づいた彼女は急に子どものようこちらの様子を伺っていて、やはり可愛くて素直だと思った。  苦笑いをする彼女に軽く片目を瞑って笑った。 .
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