プロローグ

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亡き黄泉。 泣き呼び。 呼ぶ哭(な)き。 なき世に―― 呼び方なんて何だってよかった。 名前なんて、ラベル以上の意味も価値もあるわけがない。 あれがこれで、これがそれ。 ただそれだけだ。 場所も時代も移ろえば、呼び名なんてものは変わる。 しかし俺がしたかったのは、そういった話ではなく。 変わらないもの。 いくらラベルをはり替えられても中身は変わるわけもない。 そういう話だ。 人間に忌み嫌われる。 嫌われる意味も知らないままに忌み嫌われる。 そういう話を俺はしたかったのだ。
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