8人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「……クリスマスイブね」
読書をしていたお嬢様は顔を上げると、ぼそりと呟いた。
「小さい頃は、他の子が羨ましかったわ。
サンタがプレゼントくれるんだーってはしゃいじゃって。
あんなの、父親なのに」
淋しそうに笑うお嬢様に、執事の片山は複雑な思いだった。
旧家である後宮(あとみや)家にクリスマスなどない。
「いまとなっちゃ、関係ないけどね」
皮肉たっぷりなお嬢様の笑みに、
片山が静かにため息をつく。
「……それで。本音はなんですか」
「……リア充、爆発しろ」
お嬢様の言葉に、片山があげた眼鏡の、
レンズがきらりと光った。
「では、これは必要ないですね」
片山の手の上には小さな箱。
「これをお受け取りになれば、お嬢様は爆発、
なさらなければいけませんし」
「……片山の意地悪」
ニヤリと笑う片山に、
赤くなるお嬢様なのであった。
最初のコメントを投稿しよう!