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ヒノモト、そしてイリア王国を離れたとある森。普段は人など影も見せないその場所に、なぜだか今日は数十の人々が集まっていた。
森の名前はストーダ。この地にしか生息しない、特殊な樹木が生い茂る森だ。
この森にはイリアを他国と繋ぐ簡単な道があるが、一度そこを外れると、人の手が全く入っていない自然の王国と化す。
だが、不自然。広大なストーダの森にちょこちょこと、何らかの破壊の痕跡が残っているのだ。
薙ぎ倒された大量の木や、切り裂かれた大地。それに横っ面から逆側まで、一直線に巨大な穴の空いた山。
非凡で恐ろしい何かが暴れた証拠が、至る所に残っているのである。
そんな恐ろしげな場所に、数十人の人々は集っていた。そして、彼らを先導するのは少年だ。
さらりとした黒髪と、やる気のない目が印象的な、細身の少年。レンジ・シラタニだ。
「お、あったあった、ここだ。」
レンジは目の前にある倒れた樹木を手で叩く。
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