終幕 神々の黄昏

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 扉も置かれている物もなく、ただ無機質に水色がかった壁や床が続くだけだ。 「……苦しいものだな、人間の身体というのは」  血を滴らせて、ペルセフォネは嗤う。 「何故―  私を人質にしたのですか?」  抵抗しそうにない人間の女とか、もっと適任はいただろうに、と思いながら訊いてみる。  ハデスもアフロディーテも、自分に関係ない者だからと言って、神の傲慢さで見捨てたりはしない。 「ちょっとした験担ぎさ。  お前は道を開く神だから」 「私は猿田彦とは違います。  定められた場所に向かい、定められた道を案内するだけ」
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