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無音の世界。
鼓膜の内側に鳴り続ける音を聴いている。
ああ、雪景色も美し過ぎて退屈なものだ。
君のように・・・。
僕は、ヒロミの背を見る。
ヒロミは、もう、小一時間項を繰らずにいる。
読書ではなく、物思いに耽っているのだ。
僕は、ヒロミの背に、
右手の人差し指と中指を揃えて文字を書く。
A「な・に・し・て・る・・・。」
「あ・い・に・く・る・・・。」
B「・・・・・・。ああ、ヒロミ・・・。」
「わざとなんだね?」
ヒロミの背が僕を詰問する。
悪かった、冗談だ。
君からは言わせない。
退屈しのぎは失敗してしまった。
僕の口から言おうか。
僕は、ヒロミの背後から、
右手の人差し指と中指を開いて
彼女の胸元に滑り込ませた。
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