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ハッ、ハッ、ハッ――
昨日の夜―僕は敬愛する師匠に『絶死の呪』をかけた呪術師を探して、修練場を飛び出して人里へ降りて行った。
師匠は齢80を過ぎても尚強い法力を持つ大陰陽法師。
だが、師匠の盟友と言われていたあの陰陽法師は、禁じられた呪術を用いて師匠の寿命を縮めた。
あいつだけはー
絶対に、許さない。
師匠を裏切り命を絶とうとする、あの男だけはー
そう決意して、人気の少ない公園へ入り、仇を追う。
そして、公園の噴水広場まで来た時。
あいつがいた。
「くっ・・・・・」
ドクン、ドクン、ドクン・・・・・・
あいつの放つ『陰』の『気』に気圧されないよう、精神をコントロールする。
「道心・・・いや、邪道法師、雷山(らいざん)」
奴にはもう、『道心』などという呼び方は似合わない。
道を外れた陰陽法師を、『邪道法師』と呼ぶのは僕のいる世界の常識である。
「よくも師、雷鳴法師に、邪の呪をかけたな!」
僕は宣戦布告をすると共に、挑むように腰から下げた儀礼剣を構えた。
「雷鳴のところの小倅が・・・いきがりおって」
邪道法師・雷山が振り向く。
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