白金の騎士姫~プロローグ『騎士姫と陰陽道師のきっかけ』

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憎念に駆られていた僕は、それをすっかり忘れて。 無謀な戦いをしようとしていたんだと 今、思い知った。 師匠に言われた事を思い出す。 『お前が雷山に挑む事は、斉天大聖が菩薩に戦いを挑むようだ』 意味がようやく理解出来た。 僕はまるで菩薩の掌に小便をかけようとする。馬鹿な斉天大聖ーつまり、『西遊記』の孫悟空なのだ。 「安心しろ、小倅。事と次第に拠っては」 と言った雷山が僕の前に膝をつき、僕の顎をとって上に向かせる。 「お前を生かしてやっても良い」 頭の中が真っ白になった― 生かす? どうして? 僕を 何の為に 「お前には特別に教えてやろう。雷鳴は、確かに私が殺す。しかし、それは私欲や怨恨のせいでは無い」 「じゃあ・・・何の為に・・・」 欲でも無ければ、恨みでも無いのならどうしてーあれだけ信頼していた雷鳴大法師を殺そうとするのだろう。 わからない 雷山のやろうとしていることが 僕にはまるでわからない・・・ 「お前」 雷山の目が、一瞬、優しくなった―でも・・・・・・
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