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以前の、師匠と共に人間を守る為に憑鬼と戦っていた時の『優しさ』からくる顔ではなかった。
なんだか―愉悦に浸り、たのしんでいるようなー
そんな顔を、雷山は僕に向けていた。
「雷鳴は道を誤ってしまった。その意味は、分かるか?」
「何・・・・・・!!」
忘れかけていた怒りが再び腹の中でたぎり始める。
「そんなこと―」
僕は儀礼剣の柄を再び力を込めて握り締める。
「ある訳がー」
そして地面に突き刺さっていた儀礼剣を引き抜き、地面に呪符を貼り付け、その呪符にしるしてあった印に切っ先を向ける。
「無いッ!!」
僕の決意の叫びと共に儀礼剣が呪符に突き刺さると、儀礼剣から金色の光が走り呪符に伝わり、眼前の雷山目掛け雷(いかづち)が走って行く。
僕のありったけの力を込めた術、『雷電法陣』が発動したのだ。
並の人間が受けたら全身が焼け焦げ、運が悪ければ感電死するほどの強力な呪縛陣である。
―だが
雷を浴びたはずの雷山は微動だにしていない。
むしろ
雷光の中の奴の顔は―あいも変わらず、愉悦に浸るような妖しい笑みを浮かべたままだった。
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