7人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
わたしの母がわたしの父と離婚して、生まれて半年経たないわたしを連れて健の家がある街に移り住む。
その偶然が、わたしには必然にしか思えない。
出会うべきして、わたしたち二人は出会ったのだ。
詳しい経緯までは聞かされていないが、わたしの母が健の母の世話を受けたのも必然だろう。
健の家は半分わたしの家でもある。
母が働きに出ている間、わたしは健の家に預けられる。
母が出張で家を数日空けるときにも、わたしは健の家に預けられる。
健の母は半分わたしの母なのだ。
健の父の方はそうでもなかったが、それでもわたしを邪険に扱ったことは一度もない。
だからわたしには現実的に父はいないが、まったく父がいなかったとも言い難い。
健の父は十分わたしの父なのだ。
健の母が十分以上にわたしの母であるように……。
わたしと健はほぼ双子だ。
実際には擬似姉弟だが、歳の差はたったの数ヶ月。
子供の頃にはいつも二人だけで遊んでいる。
そこに近所の子供たちが割り込むことがあっても、その本質は変わらない。
変わらないと知っている。けれどもそれが変わってくる。
時間経過とともに変わってくる。
関係性が変わってくる。
初めは信じられないが、嘘とは思えなくなってくる。
身体の形が変わってくる。
それにつれて変わってくる。
心の形が変わってくる。
それにつれて変わってくる。
そこに気持ちの揺れが加わって変化が大きくうねるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!