双子

3/5

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
 わたしの母がわたしの父と離婚して、生まれて半年経たないわたしを連れて健の家がある街に移り住む。  その偶然が、わたしには必然にしか思えない。  出会うべきして、わたしたち二人は出会ったのだ。  詳しい経緯までは聞かされていないが、わたしの母が健の母の世話を受けたのも必然だろう。  健の家は半分わたしの家でもある。  母が働きに出ている間、わたしは健の家に預けられる。  母が出張で家を数日空けるときにも、わたしは健の家に預けられる。  健の母は半分わたしの母なのだ。    健の父の方はそうでもなかったが、それでもわたしを邪険に扱ったことは一度もない。  だからわたしには現実的に父はいないが、まったく父がいなかったとも言い難い。  健の父は十分わたしの父なのだ。  健の母が十分以上にわたしの母であるように……。    わたしと健はほぼ双子だ。  実際には擬似姉弟だが、歳の差はたったの数ヶ月。  子供の頃にはいつも二人だけで遊んでいる。  そこに近所の子供たちが割り込むことがあっても、その本質は変わらない。  変わらないと知っている。けれどもそれが変わってくる。  時間経過とともに変わってくる。  関係性が変わってくる。  初めは信じられないが、嘘とは思えなくなってくる。    身体の形が変わってくる。  それにつれて変わってくる。  心の形が変わってくる。  それにつれて変わってくる。    そこに気持ちの揺れが加わって変化が大きくうねるのだ。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加