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「やっぱりあたし聞かなかった方が良かったみたい」 「全部嘘だよ」 「実際どうなの。好きなの」 「マスターベーションしてたときは抱きたかったな。でも好きかどうかは……」 「会いたいな」 「冗談言うなよ」 「でも知ってるんでしょ。話してなくても……。健が自分でしてたって」 「たぶんね」 「それってどんな気持ち」 「ぼくは恵がした次の日がわかるよ」 「えっ」 「そんな気持ち」 「まったくいじわるね。でも添い遂げさせてあげたいな」 「恵はどうなるんだよ」 「そっか。あたしは振られるんだよね。四年前なら泣いて終わったけど今は自信ない。毀れるかも……」 「恋じゃないから。単に肉欲だから……」 「それで他の人としなかったんだ」 「事故はあったけどね」 「天子さまじゃないからね」 「未だにぼくに執着してるのは恵だけだよ」 「……ってことは、すぐ前まではいたんだ」 「口を滑らせたな」 「誰」 「言うと思う」 「いや、思わない。でも気になるよ」 「恵は正直だな」 「健は嘘つきなの」 「うん」 「でもまあ悪い嘘は言わないわよね」 「最近はね」 「昔は言ったんだ」 「そうじゃなきゃ、よく殺されなかったわね、なんて言われないだろ」 「ああ、そうか」 「まだ聞きたい」 「名前を聞いていないわ」 「特定されるから言わない」 「あたしが知りたいだけ話してくれるって言ったわよ」 「困ったな。言ってもいいの」 「うん。覚悟はできてる」
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