日向

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「良かった」   「良かったよ」    聞いたらすぐに返事が返る。   「どう良かったの」 「きみの反応が素敵だった」 「ありがとう。でもしている間、他のこと考えてるような女だよ」 「確かにね」 「わかったの」 「わからいでか」 「でもいいんだ」 「きみは自分にもっと自信を持った方がいいと思うな。だけどお節介だから、それ以上は言わない」 「そうね、言われてすぐ直るわけでもないし……」 「順番が逆だけど、これからご飯を食べに行かない」 「いいけど、わたしはあなたのカノジョにはならないわよ」 「なれない、じゃなくて、ならないわ、ならば少しは脈がありそうだね」 「楽天家なのね」 「名前くらいは教えてよ」 「ダメ。それは最初に約束した通り。でも仮名をあげましょうか。背が高いからタカコでどう」 「色気がないな……。ま、いいけど。オレの方は日向武(ひゅうが・たける)。軍艦と日本神話の混合物だよ。さすがに尊の字は付いてないけど」  わたしは男の名前を聞いて驚愕する。  健とわたしが入っていたから……。  瞬時、神様もたまには面白いことをするなと感じるが、同時に疲れもドッと出る。   「何が食べたい」   「任せるわ。女の扱いに慣れていないわけでもないでしょう」
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