早田氏野菜の第1幕『しなびた野菜』

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早田氏野菜の第1幕『しなびた野菜』

日が昇り始めうっすらと薄青い道路と目に染みる信号機 足元から冷えきった地面から混合し湿った空気が漂っていた 息を吐くと湯気が出る チカチカと車のハザードランプが聞こえ 地面からは革靴とコンクリートの足音かカツカツ響き返ってくる 若い時は麒麟児と呼ばれた少年も白髪が散らばる歳には好々爺となり 昔の金字塔もいまや下馬評になり男は獅子吼を唱えることもなく 人生を仕事に打ち込んだものの残ったものは裸一貫、昼行灯であった 上質なコートとは言いにくいが 年代物の愛好しているコートとカシミヤ生地のマフラーをし革の手袋をしている 彼は会社に誰よりも早く着き鍵を開ける役割だった 革の手袋を外すとしわと子供とは離れたゴツゴツした手で無造作に鍵を開けた 他の色々な鍵が合わさって鳴く ガチャガチャ そして胸ポケットから革の定期入れを取り出しカードで室内の赤外線セキリティを解除した 自分のデスクに荷物を置きコートを置き 若い社員をみると 外では若者が夜も帰らず車ではしゃぎまわっているのを見受けられた 昔はああだった。なにも不自由もなく日に日に言うことをきかなくなる身体 ぬくもりもなくいつか沈み込んでしまうような神経の冷えと同時にこみ上げる 過去に対する苛立ちと 将来に対しての不安が湧きおこる 若い男の若者は若い女に抱き着きイチャイチャしていた 彼はそれを鼻で笑って自分の手で服装をなおした 精神からくる身体への冷え、歳をおうごとに必要とされていないと感じる社会の目 女から相手にされなくなっていく取り残されていく感覚 彼には何もなくつまらない世界があった 彼の名は早田氏 壽美雄 (はやだしのすみお) ワンちゃんとの機械もモテぬまま 早田氏と部下になじられる窓際族である 窓際族の早田氏は長年の鍛え上げた新入社員を育てるために覚えたラップテクと アイドルを追っかけるために覚えた追いかけ活動の鍛錬スキルが存在した しかし、それがなんの役に立つのだろうか 早田氏は 八百屋で枯れなめこをみて 店内用のカゴにみごとに大きい大根を入れた ゴン太である image=497409033.jpg
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