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慌ただしい足音が部屋の前で止まったかと思えば、目の前の襖が勢いよく跳ねた。
「寧々様!」
書物から窓の外へと視線を移す。静かに降り積もる雪は少しずつ世界を白銀に染めていく。
「なんじゃ、騒々しい」
「何寛いでおいですか!? お役目を九太様に任せっきりになられて!」
神主の喜助は、わらわが使役する九太に初詣を押し付けたことが気にくわないらしい。
「わらわとて疲れるのじゃ。暇ぐらいよいではないか?」
「九太様、寧々様がもう三時間も帰って来ないと泣いておられましたよ」
奴の冷たい目が突き刺さる。あの狐め、余計なことを! 飲みかけの茶を一気に喉に流し込む。
「戻ればよいのだろう」
すると、奴は諭すようにわらわの頭を優しく叩いた。
「願いに耳を傾け、成就するようお力添えをする。それが我々の役目ですよ」
差し出された喜助の手を取り立ち上がる。願わくは、この手から伝わるぬくもりが久しく続きすようにーー
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