第1章

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「はぁーっ、雪のバカ!」 雪が降るなんて信じられない。 今日は、久しぶりに大好きなお兄ちゃんが留学先から帰ってくる日。 朝からお母さんに着物を着付けてもらって、 お兄ちゃんに『綺麗になったね』って言われたくて、 ずっと待っているのに。 飛行機が定刻通りに到着した事は、ネットで確認済み。 この雪の影響で電車が遅れているんだろう、なかなかお兄ちゃんは帰ってこない。 待ち時間を持て余し、本を開いてみたけど、文字が全然入ってこない。 いつになったら帰ってくるのかな。 今日こそは、お兄ちゃんに女として認めて欲しくて、 高いハードルを乗り越えようと、覚悟していたのに。 そう、お兄ちゃんと私は血が繋がってない。 母の再婚で、義父の連れ子のお兄ちゃんと兄妹になった。 その日から一目惚れで、 ずっとお兄ちゃんが好き。
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