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2-1
2 再会の池
「おいおい……、どうなってるんだよ」
カシクバートからティオが初めて地上へ降りる日時を聞き、物陰に隠れて気配も抑えているのだが、ティオもその相手も現れない。
どんな女なのか顔ぐらい拝んでやらないと気がすま――
「……イグノトルさま?」
「うわあびっくりした!」
背後から、きょとんとした顔のティオに出会う。
「なんで……いるの?」
「うん、まあ……偶然だね」
えー、という苦情みたいな顔をされてしまう。
気配はしなくても、私の嘘はティオにはすぐにバレるらしい。
「今日は地上の空気に触れるだけだから、すぐに戻るよ。カシクさま、来るはずなんだけど、見なかった?」
やられた、と思う。
たぶん、いや、間違いなくカシクバートは来ない。
「……見なかった」
「どうしよう、降下する時刻に間に合うかな。違う日に許可を取り直したほうがいいかな」
「私が、補助するよ」
「えっ……」
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