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2-4
『うわあ……っ』
空気に違和感はない。それはないけれども真っ暗だったため、上下左右の感覚がわからない。
はっ、と思い出して人間に見つからないため、姿を見えなくする術をかける。
少し落ち着くと、点々とした地上の明かりが見えてきた。
『きれい……、下に星があるみたいだ……』
やがて、すんなりと地を捉える。
何もない森の、開けた草原みたいな場所だった。
見上げると、自分が降りてきた再会の池が、星みたいな点に見える。
『池の底が、ああなってるんだ……』
だから以前、地上の花火が見られたのだろう。
だとしたら、ぼくは流星のように見えたかもね、と思う。
『……ふふっ』
笑いがこみ上げる。
ティオが本当に結婚するためには人間に出会って、百の感謝をもらわなきゃいけないけど、とりあえず今回は降下する練習なので、すぐに戻らなくちゃいけない。
だから、地上が夜の時間に降下の許可が出たのだろう。
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