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2-8
気持ちいい……なんだろう……ああ、イグノトルさまの気配だ。
包まれてる。
「ん……」
もっと、とねだるように手をのばして、抱きしめる。
「……起きた?」
「うんー、もうちょっとだけ……」
「大丈夫? 苦しいところはない?」
「……うん?」
落ちついて目をあけると、外だった。再会の池が見えた。
「あれえ?」
「記憶抜けた? 大丈夫?」
「……うん、平気」
まだ、眠いけど。
「私は誰?」
「えっ!?」
間違えるはずはないけど、と思いながら、まじまじと顔を見つめる。
患者を診るときと同じ、真剣な表情をしていた。
「イグノトルさま」
「続柄は?」
「主」
よし、正常だ、と頷いている。
「あ、あなたのほうが記憶抜けたのかと思うじゃないかっ」
急に、気配が悲しみに満ちた。
「……君に、謝らなきゃいけないことがある」
深刻な顔をして、ぼくの手をつかむ。
「な、なに……?」
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