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2-10
「だって、人間に感謝されるどころか、一人も会わなかったよ。だから、絶対に違うよ」
「ティオ……」
「補助してくれてありがとうー、練習できたよ」
「……うん」
「次は地上で滞在する。お見送りはいらないけど、帰るときは連絡するから……再会の池まで来てほしいんだ」
「カシクに頼みなさい。私はもう……補助できないよ」
「補助はいらない。来てほしいんだ」
「……え?」
「絶対に」
求婚、するんだ。
「何の……ために? ああ、私に恋人を紹介するためか」
「そんなのより、もっと大事なことだよ」
「主を……彼女に変えるのか?」
「ぼくが誰を好きなのか、あなたはぜんぜんわかってないんだね」
「知りたくもないね!」
ひらりと背中を向けて歩きだしてしまう。
ぼくの、最愛のひと。
白髪だと言い張る、きれいな銀色の髪と、凛とした美しい立ち居振舞い。
やわらかな笑顔と、ぬくもりと、やさしさと、激しさも、怒りも悲しみもぜんぶ。
ぼくのものにする。
ふたりで築ける関係のすべてを、あなたと。
叶えてみせる。
ティオ種に課せられた宿命を壊して。
あなたに、たどり着くまで。
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