2 再会の池

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2-12 「それで、うまくいった?」 「うん。ちゃんとできたよ。イグノトルさまが補助してくれた」 「……じゃなくて、関係のほう」 「あ……。まだ、ぼくが女性と結婚すると思ってるみたい」 「言わないんだ、君も意地悪だなあ。求婚する日、いつ?」 「イグノトルさまのティオになった日から半年後の日!」 「場所は再会の池でしょ? 見に行こうかなあ」  ふふふ、と不遜に笑っている。 「カシクさま、自分は恋、しないの?」 「しないつもりはないけど、恋に落ちる瞬間に出会えてないだけかな」 「ぼくは、自分が恋をするなんて思わなかったよ」  きらきらした笑顔と、天使さま特有の痩身、やさしい声、気配。  このひとが、ぼくの天使さまだ、と思った。 「まあ、男だしね」  それも、思った。  だけどそれ以上に、彼の纏う空気の中にいたいと願った。
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