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3-4
「緑や水や、自然の多いとこに移動するよ。翼、しまって」
「……ごめん、私がいると君に迷惑かける」
「ぼくこそ、ごめんなさい。あなたを危ない目にあわせて」
どちらか、あるいは両方が悪いことや失敗を謝れば、きちんと元に戻れること。
それは、イグノトルさまが教えてくれた。
穏やかな気持ちで、笑いあう。
「……ここ、どこだろうね」
イグノトルの問いに、辺りを見回して耳を澄ます。
「上から見たけど、都会の中にある大きな公園の森みたいだ。水音がする、噴水かな」
「確かめに行ってみる? 水が流れてるなら空気も大丈夫だよ」
なんだか、イグノトルさまが楽しそうだ。
しばらく悲しい顔しか見てなかったから、ぼくまで嬉しくなる。
「うん!」
「常識考えろ、あんたらー!!」
うわああ、と頭を抱えた若者が立ちふさがった。
髪は短く、鮮やかな緋色をしている。服は、天では見たことのない不可思議な形だった。
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