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3-5
「下がって、イグノトルさま」
なんか危ない、と前に出る。
「ここは地上だぞ、なにそんな呑気な……はああぁぁ」
若者から、よく知っているような気配がした。これは、まさか。
「あれえ、もしかして君もティオなの?」
「なんで天使連れてる!! あり得ねえーっ!!」
「……うっかり落ちたんだよ、悪かったね」
イグノトルが上空を指さした。
「帰れ、今すぐ帰れー!!」
「でもぼく、滞在許可しか取ってないから、すぐには戻れないよ」
「緊急突破できんだろ、あとで始末書かけばいいだけだから戻れ!!」
「心配してくれてありがとうね」
「そんな、にっこり笑ってる場合じゃねえぞ天使!」
「あ、私はイグノトルといいます。君は?」
「自己紹介は後だ、天使。呼吸、苦しくないか?」
「……言われてみれば、少し」
ふう、と深呼吸した。
「い、イグノトルさまっ」
「移動すんぞ、付いてこい」
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