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3-9
「その天使が持ってんだろ、貴族なんだから」
「ぼくのお金でなきゃ意味ないんだっ」
「あのなあ、危機的状況なんだぞわかってんのか!?」
「イグノトルさまが大丈夫って言ったら大丈夫なんだっ」
はあ、と嫌なため息がきこえた。
「ずいぶん甘えて育ったティオだな。天使を守りたくないのか」
甘やかされた自覚はあるけど、彼の弱さも知るたびに違う気持ちも育っていた。
「守りたいから、地上に来たんだ。このひとには傷があって、ぼくがいなくなるんじゃないかって、すぐ不安がる。それをなくすために、どうしても必要なんだ」
決意をこめて、緋のティオを見つめかえす。
「……わかった。まあ、俺が保留にしてる仕事がいっこあるから、譲ってやるよ」
「ほんとう!?」
「そこの天使、ウロウロしないように縛っておけ」
「ええ……っ、そんな!」
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