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3-12
人間は、ゴロゴロと引きずってきた大きな四角い鞄をぱかっと二つに分けるように開けて、作り物の剣を取り出している。
お稽古でもするのかな、と思っていると、じゃあこれ持って構えてね、と渡された。
「わあ、リューウェイさまみたいー、ぼく格好いい?」
「てめ、リューウェイ……ってレーゼ国、王宮の」
パシャパシャと何かが光りはじめる。
「知ってるの?」
「いや、知らん! ぜんぜん知らんし!!」
「そっかあ……」
知られたくないみたいだ。
光っているものは、一瞬で絵にできる機械なんだぞ、と緋のティオが自慢げに教えてくれる。
緋のティオと肩を組んだり、額をコッツンしたり、なんで人間は、こんなことが嬉しいのかわからないけど、喜んでもらえるなら、いいや。
騒がしくしていたせいか、不意にイグノトルの気配が動いた。
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