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上司のひとの背中を追いかけるようにして、廊下を歩く。
病院は、きらいじゃない。イグノトルさまと同じ消毒薬のにおいがするから。
……だめだ、彼のことを考えちゃだめだ、悲しくなる。
談話室には、誰もいなかった。
「あの……」
「カシクなら、もうすぐ来る」
「……え?」
「白いティオは目立つからな。何かあったらイグノトルに悪い」
「でも、診療中……」
「医者にも休憩時間ぐらいはある」
「ぼくをひとりにさせないために?」
「いや、イグノトルに恩を売る」
イグノトルさまがこのひとを嫌う意味が、ちょっとだけわかる気がした。
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