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1-8
「好かれていることに気づいてなくて、意地を張って会いにも来ないそうです。ティオが地上へ行くのも危ないから反対してるそうですよ」
「そりゃ最悪な女だね!」
カシクバートが、笑っている。
笑うしかないのだろう。
「ティオと結婚するなら、もし彼女が天使なら、全力で補助するべきだ。地上が危険っていうより、喪失の病のほうがもっと危険なんだからね」
「だから、私が代わりに補助します」
「君は反対派じゃないんだ?」
「妥協点ですよ。ティオが天使の補助なしで無許可に地上へ降りるほうが危ない」
「まあ……確かにね」
「私から、ティオにここへ戻るよう言いましょうか。あなたの補助のほうがティオも安心すると思います」
「私は反対派だよ」
「賛成ではなくても、地上へ降りるのが同じなら、ティオにとって安全な道を選ぶほうがよくないですか」
「……無理だよ、私にはできない」
別の女と結婚するために命をかけるティオを、間近で見て助けるなんて。
「わかりました、私が代わりに補助します」
「……悪いね、カシク」
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