天使とティオの夜明け

１ 本当のこと

1-9
「適性検査、通しますよ」

「無許可で降りられるよりは……か」

「目の届く範囲内で無理してもらわないと」

「……んで、検査が通らなくなってない？」

「なってますよ、バーランド公爵！　何なんですか、あれは!!」

　イグノトル・エニキア・バーランドで名前に封じをかけた。

　この名前が記入されたティオの検査薬は無効になり、結果が出なくなるはずだ。

「貴族の権力」

「……やめてください、業務に支障を来します」

「そう？」