プロローグ

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プロローグ

 イグノトルが読んでくれていた絵本を大事に抱え、ティオはどこへ行けばいいのだろう、と迷う。  このままはぐれティオに戻ることもできるけど、それだとイグノトルさまと結婚することができなくなる。  水のティオ、と思った。  でも、水のティオにはトリノ伯爵がいる。  いくらおともだちでも、自分のなわばりに別のティオが居着くのは嫌だろう。  よく考えたら、おともだちはみんなティオだ。迷惑はかけたくない。  じゃあ、イグノトルさまのおともだち……と思った瞬間、行き先が決まった。 「カシクさま……だ」  彼は天使さまで独身で、ティオもいない。相談したら、きっとわかってくれるだろう。  ティオは、病院に向かって歩きはじめた。
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