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「ま、ゆっくり考えなさい。
少なくとも、成人するまでは叙勲だってないだろうしな」
そんなには、待てないよ。
だって、この剣はこんなにも煌めいてる。
『悪を裁け、戦え』って言ってるじゃないか。
悪、悪ってなんだろう。
邪魔物?
じゃあ、お父さんも?
「ねぇ、お父さん」
「ん?」
振り向いたお父さんを、僕は手にした剣で斬った。
きれいな放物線を描いて、首がとぶ。
「お父さん、ありがとう。
この聖剣を手に、僕は悪を裁くよ」
僕が、悪を裁くよ。
約束する。
邪悪な人間に、一人残らず裁きを与える。
~~~~~~~
その数年後、霧の都ロンドンでは怪奇事件が相次いだ。
鋭利な刃物で腹部を斬られ、内臓が見えるなどの残忍な手口は、被害者に余程な恨みがあるのではと推測されている。
そして、犯人には、猟奇犯らしく、様々な"こだわり"があったとされる。
また、被害者には共通点として、全員が売春婦であることがわかっている。
それらは、背徳行為、つまり、『悪』と見なすことも出来るだろう。
……ふむ、まぁ、しかしここで論じあったとしても事件が解決するわけでもあるまい。
ああ、最後に一つだけ。
物語の主人公の名前を書いていなかった。
『僕』の名前は…………。
END
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