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≪王様≫
わからない
今自分が何をしたいのかわからない
ただ死刑台の方へ歩き護衛隊の二人を止める
そしてあいつらの最後の仕事であったアリナに被せられた布袋を外してやる
「っ…!!」
息を飲んだ
視線をはずすことができない
目の前には初めて会ったときのように純粋に偽りなく笑うアリナの顔
血色は無いがただ美しい
本当に死んだのか?
ゆっくりとアリナの方に手を伸ばす
バシッ
ハッとしたときにはじんじんと痛む右手
「っナイル貴様!」
「うるさい!」
「っ!」
こいつ…俺に逆らうのか
民衆の前で俺に逆らうなんて考えられない
そんなことがあればすぐにでも死刑だ
そんなことがわからないお前ではないだろう
「そんな薄汚い手でこの方に触れるな!」
「っ…ゾクッ」
そんな目を俺に向けるな
俺に…っ!
視線にはアリナの顔
笑ってる…
俺は――――――――
お前を失った
俺がそう望んだはずなのに
王様end
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