第1章

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お嬢様が虚ろげな表情で外を見ている。   とても綺麗で麗しく、僕は見とれてしまう。 「ねぇ、一彦」 「お嬢様。お呼びでしょうか?」 「あそこにいる男性、絶対受けよね」 本で指し示す先には雪の道を急ぐ男性の姿。 雪に足をとられ、もつれて転ぶ姿が可愛らしい。 まるで白兎。 「はい?」 「あなた攻めだし、相手にぴったりだと思うわ」 「あの、お嬢様?」 「そうね・・・。転んだ彼にあなたは手を差し出すの。大丈夫ですか?って。そしたら彼は顔を赤らめて言うの。 大丈夫です。でもこの着物一張羅なのに・・・。 あなたは言うの。 私のお嬢様のお屋敷、ここなので是非乾かしていってくださいって。 そして二人は・・・」 ぽっとお嬢様が顔を赤らめる。 「お嬢様。退屈なんですね」 「えぇ。退屈よ。早く雪、止まないかしら」 お嬢様と僕はその男性の背中を見送り、雪が止むのを待った。
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