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「…それがてめぇの戎錠(ジエンド)か」
「よく知っているね」
どちらかと思っていたが、連発して発現出来ることから的を絞ってカマをかければ、相手はその情報を与えても優劣は揺るがないとばかりにあっさりと肯定する。
「せいぜいお高く止まってなぁ。てめぇの傲慢さはオレが叩き壊してやる」
昔からムカついていたんだ。男はこう続けるも、青年は少しだけ笑顔を隠し何かを考えるようにしたのも束の間、また口元に余裕ともとれる笑みを浮かべる。
「おそらくお前もオレの過去を知るプレイヤーであったのは間違いないんだろう。覚えてくれてありがとう、でももういいよ」
「どういう…」
「お前のことはもう全く覚えていないんだ」
今度は青年の言葉に男の目が見開かれ、そして猛烈な怒気に変わる。
馬鹿にしているのか!そう叫ぶも、青年は緩く首を横に振るだけ。
「お前の記憶がゆずるの中から消えたからだろう。だからオレも、お前の記憶はいらない」
「てめぇっ!」
「よそう。今さらお前もオレとの思い出を懐古したくてここまで来たのではないだろ?」
青年は男の前ですっと細身のサーベルのようなものを目の前にかざす。
「さぁ、君の覚悟を見せてくれ」
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