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(まただ……また勝手に)
ここはいつもと勝手が違うのかもしれない。
自動的に解錠が行われ、更新されていく情報を見ながら1番後ろを歩きながら、結果とともに現れたものを見つめる。
小さなビンは光に当っていないのにキラキラと輝いている。
中身はまだ何もないのを見ると、これに何かを入れればいいんだろうけど、見渡す限り水辺らしきものは見つからない。
「1本道だなんて拍子抜け」
「そうとは限らない。さっきあの男が抜けているにしては痕跡が何もない」
「通る道がランダムって可能性もあるのかも」
斗真くんと千尋さんが辺りを警戒しながらも道筋が決まっているかのように進むクエストに、疑うような気持ちが隠せないような口ぶり。
「だいたいさ、さっきのマサの言葉がいけないんだよな。何が『あいつの最後の舞台だ、何か仕掛けてこない訳がない』だ」
「……」
(あ、ウソ寝してる…)
「うわ…大人げな…」
「彼は元から大人げないです」
「……」
(しかも2人も追い打ちがひどい)
だけど不思議と張っていた緊張の糸がほんの少し緩む。
本当はきっと緩んじゃいけないシーンだと思うけど、よくわからない場所だからこそ、みんなが傍にいてくれるだけで何とか前に進むことが出来ているし、こうやっていつものように話して笑ってくれるから、足が止まらないんだと思う。
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