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斗真くんが目の前を指す指の先を見つめれば、ちょっとした開けた空間らしき場所から歌声のような声が聞こえてくる。
「…女性の様ですね」
近づけば近づくほど声は大きくなり、3人の女性の姿が見えたときには一面に広がる泉も一緒になって目の前に現れる。
『私は紡ぐもの、クロト』
『私は描くもの、ラケシス』
『私は避けられないもの、アトロポス』
(糸を…紡いでる……?)
泉の傍には不思議な球体のものから細くて輝く糸を紡ぐ女性、それをある程度の長さに測っている女性、そして不思議なはさみのようなもので切る女性がいる。
歌のように聞こえていたのは不思議な球体から糸が紡ぎ出されるときに鳴る音色のような音で、女性の歌声にも、母親の子守歌のようにも聞こえてくる。
「『モイライ』だ」
「もいらい?」
「運命を決める三姉妹って神話では言われてる。世界樹が三階層に別れている内で、“アスガルド”にいるとされているウルドの泉の守り神。それは普通ノルンって神だけど、ノルンもまた運命を司るもの」
斗真くんが言うには、世界樹にいるとされている神と目の前にいる人達は類似している、もしくは同じだったものが形を変えて語り継がれているって考えられてるようで、今まで目に見る事なんて絶対ないと思っていたものが、今目の前で紡がれている。
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