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- viewpoint change -
(ごめん……ごめんゆずる)
本人には面と向かって言ってしまえば泣きそうになるから、替わりに心の中で謝罪の言葉を繰り返す。
パチパチと落ち葉と小枝が燃える音が聞こえる。それに混じって1名の寝息が聞こえてきたことにほっとすると、そっと体を起こす。
「ごめん……」
謝ると、合図にするように今まで横になっていた2人が起き上がる。
「それで、君の意味深な態度と聞かせたい話はなんですか?」
「こいつに聞かせたくないことなのはわかったが、これを使う程か?」
マサは呆れながらもゆらゆらと残りのビンを振る。
とりあえず疲労を回復するためだと、全員に配った体力回復用のアイテム、その中でもゆずるが飲んだものだけが半分以上残っている。
中に入れたのは、前にマサがゆずるに使った睡眠剤。こんなものを使って秘密にしなちゃいけないようなことが、最後の最後で訪れるなんて思ってもなかったな。
数口口に含んでいたから、途中オレが時間つぶしのために話していた他愛もない話のほとんどは眠気で聞いてなかっただろう。だけど、それでいいのかもしれない。
「これだけど」
マサのもっともな質問の答えを答える代わりに、ゆずるから預かったりんごを目の前に出す。
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