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100%
「100%…?このリンゴの名前をお前は知っ……」
マサの言葉を無理やり区切って、振り払うように続ける。
「この器を満たす方法を示せ」
祈る気持ちを捨てられない、どうか間違っていて欲しい。
自分の立てた仮説を完全に否定して欲しいだなんて、今までそんなことを考えることはなかった。
無事にここから全員生きて帰れるなんて可能性が低いことはわかっていた。それでも全員が一緒だったら、どんな無茶難題でもどうにかなるんじゃないか、そんな夢物語みたいなことを考えていた自分もいた。
どれだけ傷ついて倒れても、みんながいれば活路を見いだせるじゃないか、ゆずるが叶えたいと言っていた世界を、みんなで創れるんじゃないか、バカみたいだと笑われるかもしれないけど、オレは少なくともそう信じていた。
1人じゃないから、みんなのためにならどんなことだって出来る。そう笑っていたゆずるには、仕方ないなって顔しか出来なかったけど、本当はその言葉にオレも救われていたんだ。
「……っう……」
「澤村…どうして…泣いて」
涙でぼやける本のページには、どうしてこんなひどい問題が出されているんだろう。運命とやらがあるとしたら、最後の最後までオレには疫病神だったとしか言いようがない。
汝が愛する女性の名前
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