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- viewpoint change -
そっと傍らに眠る少女の手首に触れ、表示されるパスの中から一部の情報を抜き出した。
せめても、犠牲になった者達が望むことをしてやりたい。
震える手でパスを操作すると、ややあってから機械的な音でプレイヤー2名のデータ消去を確認するアラームが鳴らされる。
その音を聞いて少女がわずかに身じろいだが、再び規則的な眠りについたのを見て、口元を固く結ぶと、許可を表す方へ指を進める。
― 以上 2名 ノ データ ヲ 完全ニ 消去 シマシタ -
そのアラームと同時に今まで残されていたメールも、パーソナルデータも、何もかもが消去されていく。
堅く目をつぶって何かに堪えるようにしていたその顔からは、涙の痕が昇ろうとしている朝日に反射されて光っていた。
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