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第四章~しがらみ~
我の進む道 己れの道のはず
我の夢 己れの夢のはず
見たい景色があった
やりたかったことは
両の手の指 全部足しても
足りそうにないほどだった
惚れたおなごもいた
彼女との未来を夢に描いた
子を持ち 二人で笑い
家族みんなで笑う
そんな普通の夢だった
見てはいけない夢だったのか
描いてはいけない夢だったのか
幸せにしてやりたかった
小さな幸せでも
幸せにしてやりたかった
残して行きたかったはずがない
遺して逝きたいはずがない
神よ 仏よ 鬼でも悪魔でも構わぬ
たった一滴でいい
我が血を紅の葉にかえ
愛しい妻に届けたまえ
風よ運んでくれ
雨よ 止め落としてくれるな
風よ運んでくれ
愛しい妻に 家族へと
この我が血を 風にのせ
届けたまえ
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