第五章~散華~

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第五章~散華~

故郷を発ち どれほど経ったか 季節も流れ おそらくは 山も白く 野も白く 家もすっかり 雪で覆われているだろう 真っ赤になった両の手に息を吐き 寒さに身震いしながらも 我の帰りを待っているだろうか 寒さに震える肩を抱き寄せ ともに昔語りをしたかった 夢を語り合いたかった 貴女の温もりを 匂いを いっぱいに感じながら 幸福の中で眠りたかった 桜のようには 美しくは散れないが 我は 我の様で散っていく くるりくるりと 円を描き くるりくるりと 舞い落ちる 貴女の手のひらへ向かうよう くるりくるりと 回りながら くるりくるりと 舞い落ちる 恋しい貴女を想いながら……image=497523913.jpg
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