第一章~ちはやふる~

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第一章~ちはやふる~

今は昔…… 千万の赤子の手のような姿で 空をつかもうと必死に伸ばしていた 雨にも負けず 風にも負けず 空をつかもうと必死に伸ばしていた 広げた指は 風を受けて揺れ 嵐の日や激しい風が吹く日には  ちぎれまいと踏ん張っていた 今は昔…… 桜に負けぬ鮮やかさで 時に人を魅了し虜にした 川すら染め上げ 水くくる 美しき紅の葉 感嘆の声を浴びながら  逆らえぬ水の流れに身を任す だが 本当に美しいのは 夜の錦と言われても 誰にも知られず 誰にも見られず ひっそりと佇んでいる 時だけかもしれない image=497475996.jpg
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