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第一章~ちはやふる~
今は昔……
千万の赤子の手のような姿で
空をつかもうと必死に伸ばしていた
雨にも負けず 風にも負けず
空をつかもうと必死に伸ばしていた
広げた指は 風を受けて揺れ
嵐の日や激しい風が吹く日には
ちぎれまいと踏ん張っていた
今は昔……
桜に負けぬ鮮やかさで
時に人を魅了し虜にした
川すら染め上げ 水くくる
美しき紅の葉
感嘆の声を浴びながら
逆らえぬ水の流れに身を任す
だが 本当に美しいのは
夜の錦と言われても
誰にも知られず
誰にも見られず
ひっそりと佇んでいる
時だけかもしれない
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