雨が…

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地上に叩きつける悲しみは 何処からやって来たのか 入学式は優しく降る雨でした どんより雲は少し明るく 知らない人と手を繋いで 初めてくぐる校門から 運動場ごしに見えた明るい校舎に 小雨の斜がかかる それはきれいな雨でした 満開の桜に遠慮がちに… それでも か弱い桜の花弁を道連れに 地に堕ちて 自分の姿は 跡形も残さない 悲しみ 窓を伝う悲しみは 何処からやって来たのか 行き先も無く 傘もささずにとぼとぼ歩いたのは 肌にあたる冷たさが心に届くから 煩わしい熱を逃がしてくれたから それとも 濡れてはいけない物が濡れてゆく 潰れてはいけない物が潰れてゆく そんな自分を隠す為に空を見上げ 透明な物なのに生身の自分を隠す 瞳から流れる水すら隠してくれる と ずぶ濡れの私はそう思ったのかも しれません きっと あの時ずぶ濡れの私は透明だった 傍にいる誰にも気付かれないまま 地上から消え失せたいと切に願い 道の凹みに溜まる悲しみは 何処からやって来たのか いくら願っても届かない愛を恨み 街を歩けばありふれた愛を傍観し 何故何故何故と思うのです 人に聞いても困惑されるうちには 自分に向けられる愛はあきらめて 口を閉ざして無関心に生きる術を それでも心に澱は溜まるばかりで 強がりも無表情も道化も通用せず 今でも… きっと全てがうまくいったはず… あまりにたくさん 透明の悲しみが降る日に 空にむけて 半世紀飲み込んだ言葉を 無音で咆哮する… 〇〇〇〇~〇
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