きつねはつまむ

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時に正しく 時には間違って ある時は蟻の行列のように ある時には風来坊のように したい事をしたり したくない事をしたり しなければならない事をしたり しなかったり… そうやって 人は生きる 何かに急かされて 心と体がバラバラになっている時 何かに追い込まれて 魂が 浮遊したり 流されたり 見失ったり 押し潰されたり そんな時に きつねはつまむ おい人間何処見てる? 空には太陽、月に星 雲は漂い鳥も飛ぶ 野には花咲き山には実り 愛する者は傍に居て お前に必要なものはすべて お前の近くにあるというのに なのに肝心要のお前には 肝心要の無駄がない 近くばかりを見ていたり 遠くばかりを見ていたり 心配するな人間よ お前にも 無駄を味わう贅沢な時間は たっぷりとある お前を豊かにする為に 無駄な時間があるんだよ せっかくの無駄を 無駄遣いするなよ そう言って 時折きつねは人をつまむのさ あんたのところには 立ち寄ってないかい?
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