雨の日。本を読む。

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いったいこの本はいつ終わるのか いったいこの本はどんな結末を迎えるのかは 私のあい知らぬことではありますが どの頁も似通っていて まったく代わり映えしないのに どちらかと言えばつまらない 本で それでも頁を開いてしまうのは まったく代わり映えしないのに 画かれた料理がとても美味しそうで それが魚であってもそれが肉であってもそれが野菜であってもそれが果物であってもそれが米であってもそれが漬物であってもそれがパンであってもそれが菓子であってもそれがレトルトカレーであってもそれが缶詰めであってもそれがインスタントラーメンであっても まったく代わり映えしないのに 完璧な料理で 体の隅々にまで栄養を注ぎ込んで まるで 口から幸せを注ぎ込んでいるような 思いに至ります また 登場人物も まったく代わり映えしないのに それが父親であっても母親であってもそれが兄弟であってもそれが姉妹であってもそれがいとこであってもそれが友達であっても先生であってもそれが赤の他人であってもそれが通りすがりの通行人であってもそれが自分の大嫌いな人物であっても まったく代わり映えしないのに 完璧な存在感で とても意味のある出会いのような 同じ登場人物と何度出会ったとしても毎回違う意味を感じさせるような まったく代わり映えしないのに 完璧な存在感に 僕の心は震えます いったいこの本はいつ終わるのか いったいこの本はどんな結末を迎えるのかは 私のあい知らぬことではありますが この本は 結末を迎えるまでの方が楽しいことは明らかです
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