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昔はね いたんです 妖怪たちが
昼でも薄暗い竹やぶや
人があまり寄り付かない池の畔や
帰りを急ぐ山道に
袖ひき小僧は後から袖をひき
バタバタさんも後から音だけバタバタ近づいて
ふりかえっても誰も居ず
歩き出したらまたバタバタ
こう言うの
「バタバタさんお先にどうぞ」
バタバタさんはもういない
あれあれ…
そんな事あるよね
イヌ イタチ 猩々 狼
キツネ に タヌキ
え 動物じゃん
いえいえ ちゃんと居るんです 妖怪の中に そのままの 名前で
狐の七化け狸の八化け
猩々は酒好き妖怪
犬神たたり化け猫尻尾は二つ
鼬(イタチ)は川岸歩く人の足引き
送り狼は旅人の後ろについて旅人転べばパクリと食べた
あれあれ…
そんな事あるよね
人が住まなくなった空き家や寺に
森の古木の穴の中に
子どもがいなくなった寺子屋にも
昔はね
いたんです妖怪たちが
旧鼠は親に死なれた仔猫を育て
河童は相撲を取ったり尻子玉を取ったり時には人を助けたり
鬼も食い殺したり時には人を助けたり
天狗隠しに天狗の火天狗の揺さぶり
それよりなにより
て~んぐは空を飛ぶ~‼
小豆洗いに子泣き爺に垢舐めにジャンジャン火にろくろ首にのっぺらぼうにぬりかべに一反木綿
人が自然に怖れや敬意を抱いていた頃は魅力的な妖怪たちが日本中にたくさんいたんです
今はゲームやインターネットや夜でも明々と灯るネオンや忙しい仕事や疲れはてた人間たちに忘れ去られ
居場所がなくなっちゃったと泣いております
あ そういえば…座敷わらし
ザシキボッコ、ヘヤボッコ、クラボッコ、蔵ワラシ
呼び名は全国津々浦々違いはあれど日本中にいたそうだ
座敷わらしがいるとその家は幸せに満ち豊かで繁栄するのだとか…
あれあれ…
そんな事あるよね
あはは‼
全国どころか各家庭にいますな元気な座敷わらしたち‼
妖怪たちはいつでも待ってます
人間たちが思いだしてくれるのを…
あ
靴下が片方無いぞ…
九十九神か…
それとも
靴下隠し か…
ふん
なんかようかい?
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