東京タラレバおじさん

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寒い日の 北から吹く 強い風は 心を キュンキュン 締めつける 繰り返し繰り返し忘れた頃に吹く 風はどんな記憶に働き掛けるのか ピュ―――――――― 何がかはわからないが 何かがかわらないかぎり これからも ピュ―――――――― 風は吹く ああ あの時… 何で悲しいのかわからずに泣いてしまうのは 悲しみが慢性化したからだ 悲しみの要因を心のつづらにぎゅうぎゅう詰めこんで蓋をして鍵をかけた 忘れて終うほど前に… 其れでも理由の忘れ去られた悲しみだけは時々滲み出て… 父さんが優しかったら… 母さんがいれば… 学校に行けたら… 病気にならなければ… タラレバは言い訳だから言っちゃダメ タラレバは理由にならないから考えちゃダメ はぁ? と思う。 大したこと考えている訳ではない 時間が元に戻らない事くらい誰でも知っている だけどタラレバするのは悲しみの緩和に一役買ってくれるからだ あなたは私の悲しみに興味はない 私の悲しみに興味があるのは私だ タラレバはいつも悲しみや不平を抱える本人の為にある あなたは私の悲しみを癒してはくれないが タラレバは私の悲しみを癒してくれる もしあなたに話したとしたら あなたを仲間だと思って信頼して話しただけで それは 私のタラレバとは全く関係ない 全く別の要因 です タラレバくらい言わせてください そんな私は東京タラレバおじさん いや 失敬 そんな私は京都タラレバおじさん あ~あ 東京出身だったらなぁ…
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