イチローの話

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清水くんは 「はーい」 でも子供だからさ 2人で遊び続けてる すると今度は母親がさ 「〇〇ちゃん!!こっちにいらっしゃい!!」って ちょっと怒って隣の部屋に清水くんを呼ぶ で 僕にも聞こえる様にこう言うんだ 「〇〇ちゃん!!あそこの施設の子供とはお友達になっちゃダメよ!!お友達は選ばないといけないのよ!!」 清水くんが戻って来て 「ひろくん、帰って!」 「うん。」 だよね… よく映画やドラマなんかで見る シチュエーション でもそんな事はそれから日常茶飯事になる。傷つく事も無くなる。 世の中には そういう人とそうでない人がいる という事も 低学年のうちに理解できるように なるさ ただこう思うのさ なんで僕なんだろう?ってさ でも施設にいる子供はさ 片親でも 両おやでも みんなそんな思いをしてる訳だし そんな事でいちいちクヨクヨはしないさ みんな似たような境遇だからね 「まあ、しょうがないよな」となる 施設の中に 同い年のイチローがいた 俺より後に入って来たけど いつだったかは忘れた イチローは大人しくて真面目でさ 勉強はいまいち 運動神経はいまいち 喧嘩も弱い 漢字の小テストはいつも10点満点 真面目だからね でも本チャンのテストは平均以下 真面目なのにね やんちゃの多い施設の中で 誰も傷付けず目立たず 運動オンチ 「ダメだな…お前は」なんてね 中学三年卒業間近 イチローも公立高校受かってさ 就職組もみんな行先が決まった頃 そのイチローがキレたんだ
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