春に嵐

2/2
前へ
/372ページ
次へ
温かな晴れた休日に風が吹いた昼 目を開けているだけで涙出る様な 強い風 建材屋のコンクリートミキサー車 きれいに並んで平日の喧騒忘れる 砂は舞い散らない様にシート固定 ごぉごぉとまるで世紀末みたいな 強い風 普段は煩い景色が今日はダンマリ 目に映る風景に人は見当たらなく この世界にたった1人と空想する ごぉごぉの風にあちこち押されて ひとり声のない景色の中散歩する なんかすごく心細くなった春の昼 煩わしい人の声でも聞こえなきゃ きっと淋しい と そう思う 優しい声や笑い声ならなおさらに 悲しい声も怒った声も反駁の声も なきゃ無いで淋しいに決まってる 良いも悪いも酸いも甘いも何より 1人で人は生きてはいけないから そう気付かせてくれた春に吹いた 強い風
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加