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二人は店から少し離れた路地で向かい合っていた。
あの日と同じように沈黙が続いたが、今度は私が先に話し出した。
「南さん…。俺、返事聞くまで何回でも言います!ずっと、ずっと好きです。だから俺と…俺…。」
そこまで言うと、彼女から私を抱きしめてくれた。
「わかってるよ…。坂口くん、ありがとう。」
彼女は私を抱きしめたまま続けた。
「ずっとね、迷ってたんだ。あの時から。」
「え?」
「あんなこと言われたら、やっぱり気になってくるもん。でも坂口くん、なかなか私のところに来ないし、急にキスしちゃったから、引かれちゃったかと思ってた。」
そこまで聞いて、私は彼女の手をほどいた。
「私も何か、言いづらかったし、本当に私なんかでいいのかなって。私のどこがいいんだろうって。」
「俺、全部好きです。南さんのこと。本当に全部。ってか、好きになるのに理由、いります?」
彼女の頬に光る筋が見えた。
「本当に、私でいいの?後悔しない?」
「する訳ないっす。」
今度は私から彼女を抱きしめた。彼女もそれを受け入れてくれた。
「これから宜しくね。坂口くん。」
「はい!南さん!」
二人は額をつけて笑いあった。
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