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二日目、三日目と厳しい練習が続いた。
テレビやマンガにある爽やかなものとは到底かけ離れていた。
運動音痴の私は逃げ出したかったが、彼女が私に見せる笑顔と励ましの言葉が、力となっていた。
その日の夜、食事の片付けをしていると、初日に見た外へ出る人影があった。
ユキだった。
私は後片付けを同級生に頼み、彼女の後を追った。
湖のほとりに彼女はしゃがんでいた。そっと近づくいてみると、顔を臥せて泣いていることに気付いた。
静かに立ち去ろうとしたが、踵を返したときに足下の砂利が音をたてた。
「誰?」
その声に思わず立ち止まり、彼女の方へ向き直した。
「…坂口です。何か気になったんで…。すみませんでした。」
「ほんとだよ。やなとこ見られちゃった。片付け、もう終わったの?」
月明かりしかない場所で表情がわからず、その言葉が本気なのか冗談なのかはわからなかった。
「あ、いえ…。戻ります。」
「ううん、いいよ。坂口くん、こっち来て。」
私はその言葉に従い、彼女の隣に座った。
脈が速くなり、額に汗が滲んできた。
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