Teenage Dream

7/16

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
二日目、三日目と厳しい練習が続いた。  テレビやマンガにある爽やかなものとは到底かけ離れていた。  運動音痴の私は逃げ出したかったが、彼女が私に見せる笑顔と励ましの言葉が、力となっていた。  その日の夜、食事の片付けをしていると、初日に見た外へ出る人影があった。  ユキだった。  私は後片付けを同級生に頼み、彼女の後を追った。  湖のほとりに彼女はしゃがんでいた。そっと近づくいてみると、顔を臥せて泣いていることに気付いた。  静かに立ち去ろうとしたが、踵を返したときに足下の砂利が音をたてた。 「誰?」  その声に思わず立ち止まり、彼女の方へ向き直した。 「…坂口です。何か気になったんで…。すみませんでした。」 「ほんとだよ。やなとこ見られちゃった。片付け、もう終わったの?」  月明かりしかない場所で表情がわからず、その言葉が本気なのか冗談なのかはわからなかった。 「あ、いえ…。戻ります。」 「ううん、いいよ。坂口くん、こっち来て。」  私はその言葉に従い、彼女の隣に座った。  脈が速くなり、額に汗が滲んできた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加