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玄関も、ベランダにも、カギはかけていたはずだと、そう思っていた。
うっすらとしかない意識の中でも、彼は割と冷静だったのかもしれない。
だけど、自分の上に座る女がいることに、彼は疑問を覚えた。
しかも、絶世の美女といっても過言ではない。
目は細いが、とても形が美しく、その瞳は水晶玉のよう。
スーッと通る鼻筋は、嫌みではない高さで均整がとれているし、その口はちょうどいい大きさで、ぷっくりと厚みのある唇が妖艶な雰囲気を醸し出している。
その顔の輪郭を覆うように流れる髪の毛は、まるで金糸のように美しくて、触りたくなる。とても長いのに、全く傷んでいる様子がないのだ。
「何でこの部屋にいるんだ?」
男は、その疑問を口にした。
『あなたが私を求めたからよ』
美女の声は、とてもつややかで、この世のものとは思えないほど。
言っていることは不可解ではあるが、男の欲を刺激するような、官能的な響きをはらんでいた。
「呼んだ?僕が?」
その問いに、女は「ええ」とだけ答える。
そう言う女の口元は、まるで誘っているかのように艶っぽかった。
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